日本の対戦相手は「塞内牙」「波蘭」… W杯出場32カ国、漢字もこんなに強そう

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日本が対戦する「グループH」の出場国一覧。難敵のセネガルは漢字も難読だった(※「みんなの漢字」編集部作成)
 メキシコがドイツを撃破! ブラジルがまさかのドロー! そして日本の金星発進! W杯1次リーグの初戦から、今後の混戦を予感させるような試合に沸くロシア大会。今回のW杯、日本とともに熱戦を繰り広げる出場国の名前を漢字にしてみると……いずれも難読の強豪国ばかり! 日本では“当て字”とされている、身近にありながら、普段はあまり意識せずに使っている言葉。この背景を、『漱石朝日新聞』(朝日新聞出版)などの著作を持つ、大東文化大学准教授・中国学博士の山口謠司さんに聞きました。

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 日本に伝わる国名の漢字表記の起源は、中国に来航したヨーロッパ人の世界地図を見た中国人が、そこに書かれていた国名や都市名を、発音を頼りに漢字にしたことだとされているそう。今回取り上げた国名も、日本、韓国、氷州を除けば、もとは中国語由来の漢字だといいます。

■「日本」の読み方は「にほん」? それとも「にっぽん」?

 たとえば、『やま』を「山」とするように、漢字は原則ひとつの字に、「読み」と「意味」を持っています。一方で、漢字の読み方のなかには、その漢字の持つ意味を離れ、その字音(漢字の読み方のうち、中国語としての発音に基づくもの)、字訓(漢字の読み方のうち、中国語としての意味にあたる日本語)だけを用いる場合があります。

 日本人は、中国語を表記するために生み出され、音読みと意味しかない漢字に、日本語を書き表すための応用を加えてきました。この表記、用法が“当て字”です。

 中国で生まれた漢字は、古くはサンスクリット語の音訳による「釈迦」や「卒塔婆」といった仏教語にも見られるように、もとから発音を表記する性質を持っていました。

 日本人は漢字を中国から輸入しましたが、奈良時代には、「阿」を「あ」に変換するなど、古来の言葉を一音ずつ漢字に当てはめる、「万葉仮名」を作り出します。こうして成熟した日本固有の「大和言葉」(和語)は、すべて“当て字”ということができるでしょう。

 ちなみに、「日本」には、(にほん)(にっぽん)とふたつの読み方がありますが、奈良時代に「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」の半濁音が使われていたこともあり、本来は、(にっぽん)と読みます。この名残は、関西方面、たとえば大阪の日本橋(にっぽんばし)などで見られます。これがいつしか使われなくなり、江戸時代には、(にほん)へと変化します。東京には、日本橋(にほんばし)がありますね。

 ただ、今回のような勝負を競うスポーツの国際大会では、リズムがあり、濁音に力強さが込められる、(にっぽん)を用いてはどうでしょうか。やはり応援する側の気持ちも入りますよね。

 このように、状況に応じて言葉の読み方まで変えることができるのが、日本語の最大の魅力だといえます。なんとも日本人らしい言葉の在り方であるといえるのではないでしょうか。

※明治時代までは、国名は漢字で表記するのが一般的でした。今回掲載したものとは異なる漢字表記もあります。

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